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ソウルレスな日記。
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気が付くと家にいた。間取りはそのまま、だけど家具の配置は昔のまま。
気が付くと人がいた。俺と兄と祖母と一人。だけど父はなぜかいない。
気が付くと母がいた。健康そうな表情。だけどベッドの上で点滴を受けている。

2010年、今年で3年になるか。4回忌を迎えることになる。
遥か昔のことだと思っていたけど、まだまだ後悔は多い。
それは俺自身のものか、果たして死んだ母親のものか。

時が経つと夜が来た。灯りのある部屋は寝室だけ。だけど全てが見えていた。
時が経つと人が来た。にわかに慌しくなる家。だけどその理由を知っていた。
時が経つと"時"が来た。覚悟は前から決めていた。だけど現実は時に厳しい。

ふいに何も見えなくなった。目をつぶったのか。現実から逃げたのか。
だけどそのとき、他でもない俺の声が聞こえてきた。心からの叫びだったのか。
悲鳴にも聞こえた、「だめだ」。これが俺の本音だったのか。
あの日、どんなに言いたくても 、どんなに叫びたくても出てこなかった声だったのか。

母は危篤だった。だけど叫びが届いたのか、一時容態は安定した。
俺はその場を離れた。何故そうしたのかはわからない、だが水を飲みに部屋を出た。
再び戻ると様子は違っていた。ペンライトの光が目に当てられた。

また俺はやっちまったのか。夢の中ですら、二回目なのにその瞬間に立ち会えなかった。
そのときの顔は、紛れもなくあの日の最期の顔で。夢の中の俺は泣いていた。
二度も同じ過ちを繰り返した俺に腹が立った。二度も死んだ母親がどうしようもなく悲しかった。

目が覚めると家にいた。間取りはそのまま、家具の配置も今のまま。
目が覚めると人がいた。俺と祖母の二人きり。父は指を怪我したようだ。
目が覚めると母がいた。穏やかな表情。だけどそれは額縁の中で止まっている。


もう随分墓参りしてねえな。暇見ていくからよ、寂しがらずにまってなさい。
あんたの息子は、今日も元気に暮らしている。
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