こんな日は

勇気を出して飲み込んだ思いが、逆流するのを防ぐために酒を飲む。
満足するまで、世界が回りだすまで酒を飲んで家に帰る。
そんな途中に月を見る。あの月は俺の思いを見事に引っ張り出してくれた。

そして家に着いた俺は、苦しくなくなるまで思いを全部吐き出した。
頭が痛くなっても、涙が出ても、鼻が詰まっても、全てが出るまで全てを出した。
やがてすっきりすると、元の苦しみも忘れて日常の顔に戻る。

綺麗な満月が出る頃、性懲りもなく俺はあの甘美で苦い味を求めて街をさまようのだ。